ストーリー

プロローグ

冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――

夕暮れのキャンパスに、誰もいない学食に、寂しげな校舎の窓辺に。

三年前に凍らせたはずのあの歌が。
情熱に突き動かされ、純粋な想いを綴った、欺瞞の歌が溶けてゆく。

あの、三人だった冬も今は遠く、
一人と一人の季節を何度も繰り返し。

続きは、そんな晩秋。
あの時引きちぎろうとした絆の、醜い傷痕が乾くこともなく、
けれど、何かが変わる予感とともに始まっていく。

寂しい二つの旋律は、互いを惹きつけ傷つけて、
そしてまた、新たな旋律を呼び寄せる。

もうすぐ、新しい冬が来る。
あのひとといられない、そしてあいつのいない冬が。
ホワイトアルバムなんて知らない。
だって、もう何も歌えない。
届かない恋なんてしない。
だって、もう人を愛せない。